国民生活センターの水素水調査を冷静に見る!

国民生活センター水素水調査

2017年12月に、国民生活センターが水素水に関する調査結果を公表しました。

調査した理由は、水素水は実際に飲むときにどれくらいの水素濃度になっているかが分からず、水素水に関する相談も年々増加しているためとしており、調査の内容は、同センターがピックアップした19の水素水製品に対して、主に次の2点を調査しています。

  • 溶存水素濃度について
  • 販売ページなどに記載された、主に効果に関する記述内容

本資料はこちら→http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20161215_2.pdf

調査対象になった製品のメーカー各社からも様々な意見が寄せられましたが、2012年から水素水製品を見てきた筆者からしても、疑問に思う部分がありますので、この記事でまとめてみました。

 

テスト対象にした銘柄について

アルカリイオン水は水素水と区別すべき

タイプ別に全部で19製品をテストしていますが、水道直結型で選択している「日本トリム」と「パナソニック」の2製品は、どちらも「水素水サーバー」ではなく「アルカリイオン整水器」で、これらの製品では「アルカリイオン水」のことを「電解水素水」や「還元水素水」と表記しています。

同じ電気分解方式でも水素水サーバーとはメカニズムが違い、できる水も違うものですので、なぜこれを選んだのか疑問です。

アルカリイオン水は、水素濃度を約0.8ppm以上にすると、ph9.5を超える強アルカリになり飲めませんので、そもそも水素を主目的とした飲料水ではありません。

なぜ性能が低く古い携帯型生成器を選んでいる?

携帯型水素水生成器3製品のうち、「Pocket」については、生成器初期の製品で、水素濃度が低く生成時間もかかります。

ECサイトで「売れている順」に並び替えれば、累積販売数で上位に来ることは当然考えられますが、他に2分から3分で1ppm以上の水素濃度が出る製品がいくつも出ていたにもかかわらず、この3製品を選んだのは安易であり疑問です。

 

溶存水素濃度の測定について

溶存水素濃度について、長々とテスト結果を述べていますが、水素の性質を知る者にとっては当たり前のことばかりで、公開資料の17ページにある「消費者へのアドバイス」だけで事足りるテスト内容ではなかったかと思います。

これならもっと多くの銘柄を注文して、届いた日に計測した数値を全部公表したほうが消費者には有益でしょう。

水素水生成器についても、同じ水温の浄水※を使用して、生成直後の溶存水素濃度を横並びでたくさん公表して頂くほうが、参考になると思います。

※ミネラルを必要とする製品では、浄水で水素は発生しないため、同じミネラルウォーターを使用してもよい。

また、測定方法が各社バラバラとのことですが、国が定めた検査方法がありませんので当然です。早く定めて、第3者検査機関も活用できるようになればよいと思います。

今回のテストは善意にとらえるなら、具体的な数値を示して周知するという意味はあったのかなと思います。

水素が時間とともに抜けるのは当たり前

アルミパウチでもアルミボトルでも、水素は製造直後から徐々に抜け始めます。

ですから飲むときには充填時や出荷時の濃度から低下しているのは当然で、未開封でも1ヶ月後2ヶ月後と、徐々に低下するのも当然です。

わざわざ測定して、「低下しますよ」と言うまでもありません。

現在、最も抜けにくい容器は4層構造のアルミパウチで、水素の粒子を細かくしたナノバブル水ならもっと抜けにくいですが、それらの製品でも徐々に抜けます。

賞味期限に保証できる水素濃度を記載すべきとのことですが、そもそも賞味期限自体に共通した定義がなく各社バラバラですので、まずは基準を決めるところからではないでしょうか?

現状は、水素水として0.8ppmを下回らないのを目安に、6ヶ月程度を賞味期限にしているところが多いと思いますが、中には1年にしているケースもあります。

そういう意味では、製造年月日を記載したほうがよいかもしれません。

2年もすればほとんどの水素が抜けるでしょうが、災害時などの水としては利用できます。

空気に触れれば早く抜けるのは当たり前

コップに入れて放置すれば水素が早く抜けるのは当然で、わざわざ調査する意味も感じません。

アルミパウチでも一度開封すればキャップの隙間から抜けていきます。

生成器に関してはできたてを飲めるのがメリットで、わざわざ時間をあけて飲む意味がありませんので、使用方法の周知の方が重要です。

水素がペットボトルを通過するのは当たり前

水素がペットボトルを通過するのは比較的よく知られた話で、水素が検出できないのも当然です。

注意喚起するとともに、ペットボトルに水素水と表記しているような製品は出荷停止にすればよいと考えます。

 

水素水の効果に関する表示について

まず水道直結型でテストされたアルカリイオン整水器について、アルカリイオン水の「胃腸症状改善」はアルカリイオン水特有の効果効能で、水素水の効果ではありません。

論点は「悪玉活性酸素の除去(無害化)」

(水素水で)特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届出されたものは、現在のところありませんので、効能効果をうたっているものは法律に抵触している場合があります。 引用:国民生活センターの公開資料より

これはそのとおりで、例えば「アトピーに、痒い部分に水素水をつけて下さい。」といった記述は抵触するでしょう。

しかし「水素は様々な病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化します」というのはどうでしょうか?

水素が悪玉活性酸素を無害化することは、これまでの研究で間違いないところまで来ていますので、「ビタミンC やEには抗酸化作用があります」というのと同じくらいのレベルではないかと思います。

「ただし、どれだけの量の水素を摂取すれば健康維持・増進の効果があるかは、まだデータがありません」あるいは、「当製品を飲むことで必ず健康維持・増進の効果があることを保証するものではありません」と追加すれば、正確な情報になるのではないでしょうか。

病院での水素治療では、水素水の飲用以外に水素ガス吸引や点滴といった方法も使われますし、臨床試験は特定の疾患に対して行われています。

水素水の飲用は最も簡単に摂取できるのがメリットですが、健康な人や、ちょっと太り気味な人、血糖値が高めの人などに対して、どれだけ飲めばどれだけ効果があるのかは、まだ検証できていないのです。

 

最後に

水素は先進医療として研究されていますが、これまでの医薬品や高額な医療器具と違い、開発費もかからないしありふれた物質です。

しかも大量摂取しても無害ですので、一般消費者向けの製品が先行している状況です。

これまでとは違ったスキームや法整備の検討も必要ではないでしょうか。

水素水は決して「ニセ科学」などではありませんので、無知なために「効果なし、ただの水」と切り捨ててしまう意見が出るのが残念でなりません。